私が兵庫県立がんセンターを志望した理由は、学生時代の終末期看護実習で癌の終末期患者さんとの関わりがきっかけでした。患者さんはがん性疼痛が強く姿勢を頻繁に変えたいと訴えられていました。私が当時行った看護は微調整のような体位変換にすぎなかったのですが、患者さんが亡くなられた後日に担当スタッフから「身体の向きを調整してくれたおかげで、本人もそうやけど奥さんも楽やったって言ってたよ」と言われた時に学生ながら”寄りそう”という意味を考えさせられ、がん看護に携わりたいと強く感じがんセンターを志望しました。
当院の集中治療室は主に術後患者の看護を行いますが、急変及び重症な患者さんの状態に合わせて集中治療を行います。そのため人工呼吸器や透析等、一般病棟ではあまり経験することができない技術を学習することができます。入職当初は学習面で苦労しましたが、わからないことは周囲のスタッフが親身に聞いてくださり、サポートが手厚いところが特徴です。集中治療室の特有の忙しさはありますが、日々スタッフ間で助け合いながら安全に患者さんの看護を提供しています。
舌癌の術後で気管切開をしている患者さんを受け持った時のことですが、術侵襲が大きく、安静度やコミュニケーションが制限されストレスが高まりやすい状況の中、自分の看護に対して筆談で「こまかいところまで、気づいてくれてありがとう、心つよいです」と言ってくださったことです。この時の私は、患者さんは一番辛い時期にも関わらず、自分の看護や言動を見てくださっていたということに心を打たれ、やりがいを強く感じました。
当院は都道府県がん診療拠点病院として県下の先頭に立ち、がん医療を提供しています。そのため看護師やその他の職種においても”患者さんにとって最善の医療を提供したい”という思いが強いように感じます。最善の医療を提供するためには専門的な知識も必要となりますが、研修を含め教育体制も十分に整っており着実に成長していることを感じられる環境が整っています。
私たちスタッフは、常に患者さんやその家族に寄り添い、専門的で温かみのある看護を提供しています。時に自分の関わり方や看護で悩むこともありますが、周囲のスタッフと助け合うことができる素敵な職場です。皆様と一緒に患者さんに寄り添い、看護をできる日を楽しみにしています。